自動車整備業界の人手不足が深刻です。求人倍率は4.55倍にのぼり、国内の人材確保だけでは追いつかない状況が続いています。こうした中、特定技能「自動車整備」を活用した外国人整備士の採用が着実に広がっています。本記事では、制度の仕組みから採用要件、給与相場、導入までの具体的なステップを解説します。
この記事でわかること
- 特定技能「自動車整備」の制度概要と最新動向(2号追加・受け入れ枠拡大)
- 対象となる業務範囲と受け入れ見込数
- 外国人側・企業側それぞれの採用要件
- 気になる給与相場と雇用条件
- ネパールでの整備士試験の実施状況
なぜ外国人整備士の需要が急増しているのか
自動車整備士の有効求人倍率は4.55倍。つまり、1人の整備士を4社以上が取り合っている状態です。高齢化による退職者の増加と若年層の整備業界離れが重なり、慢性的な人材不足が続いています。
この状況を受け、自動車整備は特定技能制度の発足当初(2019年)から対象分野に含まれており、すでに3,000人以上の外国人整備士が日本で活躍しています。2024年には受け入れ見込数が5年間で10,000人に拡大され、さらに特定技能2号も追加。長期的なキャリア形成が可能になったことで、企業・外国人双方にとって魅力的な制度に進化しています。
ポイント
自動車整備は特定技能の中でも歴史が長く、制度が成熟しています。受け入れ企業数の上限もなく、実績も豊富なため、初めて外国人採用に取り組む企業にも向いている分野です。
対象業務と受け入れ見込数
特定技能「自動車整備」で従事できる業務は、大きく分けて3つの主業務と付随業務です。
| 区分 | 業務内容 |
|---|---|
| 日常点検整備 | ブレーキ、タイヤ、エンジンオイル等の日常的な点検・整備 |
| 定期点検整備 | 法定12ヶ月点検・24ヶ月点検(車検整備) |
| 特定整備 | 重要保安部品(ブレーキ、ステアリング等)の取り外しを伴う整備 |
| 付随業務 | 整備内容の説明、部品販売、板金塗装、洗車、車内清掃など |
受け入れ見込数は、2024年の見直しにより5年間で10,000人(従来の6,500人から大幅増)。受け入れ企業数の上限はなく、何名でも採用可能です。
特定技能2号について
2023年6月に自動車整備分野にも特定技能2号が追加されました。2号は在留期間の上限がなく、家族帯同も可能。3年以上の実務経験と2号評価試験の合格が要件です。長期的に働ける環境が整ったことで、優秀な人材を確保しやすくなっています。
特定技能「自動車整備」の採用要件
外国人側の要件
| 要件 | 1号 | 2号 |
|---|---|---|
| 日本語能力 | JLPT N4以上 または JFT-Basic | 不要(1号取得時にクリア済み) |
| 技能試験 | 自動車整備分野特定技能評価試験 | 2号評価試験 |
| 試験免除 | 自動車整備技能検定3級で免除可 | — |
| 実務経験 | 不要 | 3年以上 |
| 在留期間 | 最長5年 | 上限なし(更新可) |
企業側の要件
- 地方運輸局長の認証を受けた認証工場または指定工場であること
- 自動車整備分野特定技能協議会への加入
- 外国人労働者向けの支援計画の策定・実施
- 日本人と同等以上の報酬条件
外国人整備士の給与相場
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| 月給 | 約249,000円(全国平均) |
| 時給換算 | 1,400〜1,700円 |
| 注意点 | 日本人整備士と同等以上の報酬が法的に必要 |
注意点
「安い労働力」としての採用は制度上認められていません。同じ業務に従事する日本人と同等以上の報酬が必要です。むしろ、慢性的な人材不足のなかで「採用できること自体が価値」と捉えるべきです。
ネパール人材 × 自動車整備の可能性
自動車整備分野の特定技能評価試験は、ネパールを含む13カ国で実施されており、現地でCBT(コンピュータベーステスト)方式で受験できます。
ネパール人整備士のメリット
- 現地で試験を受けられる — ネパール国内でCBT試験が実施されており、来日前に資格を取得可能。採用までのリードタイムを短縮できます。
- 右ハンドル・左側通行の交通環境 — 日本と同じ交通環境のため、車両構造への理解がスムーズ。整備作業への親和性が高いです。
- 手先の器用さと勤勉さ — 細かい作業が多い整備業務に適性があると評価されています。
Blue Rocketは2025年2月にネパール・カトマンズに支社を開設。現地の教育機関と連携し、候補者の発掘から日本語教育・試験対策までを自社で一貫して行っています。整備士人材のご紹介も対応可能です。
採用から就業開始までのステップ
| STEP | 内容 | 目安期間 |
|---|---|---|
| 1 | 登録支援機関に相談・ヒアリング | 1〜2週間 |
| 2 | 候補者の選定・オンライン面接 | 2〜4週間 |
| 3 | 雇用契約締結・在留資格申請 | 1〜3ヶ月 |
| 4 | 入国・生活オリエンテーション | 1〜2週間 |
| 5 | 就業開始・定着支援 | — |
整備士の場合、ドライバーと異なり日本の運転免許取得が必須ではないため、入国後の準備期間が比較的短いのが特徴です。全体で3〜5ヶ月が目安となります。
特定技能整備士の採用費用の目安
特定技能「自動車整備」で外国人整備士を採用する場合、以下のようなコストが発生します。ドライバー職と異なり、運転免許取得費用が不要なぶん、初期コストはやや抑えられる傾向にあります。
| 費用項目 | 目安金額 | 備考 |
|---|---|---|
| 人材紹介手数料 | 年収の20〜35% | 紹介会社により異なる。相場は50〜80万円程度 |
| 登録支援機関への委託費 | 月2〜3万円/人 | 義務的支援(生活・相談対応等)の代行 |
| 在留資格申請費用 | 10〜20万円 | 行政書士への依頼含む |
| 渡航費・初期生活費 | 15〜30万円 | 航空券・住居の初期費用等 |
トータルで1人あたり60〜120万円程度が目安です。求人倍率4.55倍の整備業界では、求人広告を出しても応募が集まりにくい現状があります。確実に即戦力の人材を確保できる特定技能の活用は、長期的に見れば費用対効果の高い投資といえます。
よくある質問(FAQ)
Q. 自動車整備の特定技能試験はどこで受けられますか?
日本国内に加え、ネパールを含む13カ国でCBT(コンピュータベーステスト)方式で受験可能です。試験は「自動車整備分野特定技能評価試験」で、日常点検・定期点検・特定整備に関する知識が問われます。日本語能力試験(N4以上)とあわせて合格すれば、特定技能1号の在留資格を申請できます。ネパール国内では定期的に試験が実施されているため、来日前に資格を取得するケースが増えています。
Q. 技能実習から特定技能への移行はできますか?
はい、自動車整備の技能実習2号を良好に修了した方は、特定技能の技能試験と日本語試験が免除されます。そのため、すでに日本で技能実習生として働いている整備士が、特定技能に切り替えてそのまま同じ工場で継続して働くというケースも増えています。企業にとっては、一から教育する必要がなく即戦力として活躍してもらえるメリットがあります。
Q. 指定工場でなくても特定技能整備士を雇えますか?
いいえ、特定技能「自動車整備」の受入企業は、地方運輸局長の認証を受けた認証工場または指定工場である必要があります。カーディーラーや整備専業工場、ガソリンスタンド併設工場など、認証を受けていればOKです。認証を持っていない場合は、まず認証取得の手続きを進める必要があります。
Q. 特定技能2号に昇格するにはどうすればいいですか?
自動車整備分野では、3年以上の実務経験と2号評価試験の合格が要件です。2号になると在留期間の上限がなくなり、家族(配偶者・子ども)の帯同も可能になります。企業にとっては優秀な整備士を長期的に雇用できるようになり、本人にとっても将来的な永住権取得への道が開けます。スキルアップと長期定着の両方を実現できる制度設計です。
Q. 外国人整備士に板金塗装や洗車をお願いしてもいいですか?
はい。板金塗装、洗車、車内清掃、部品販売、整備内容の説明などは「付随業務」として認められており、主たる整備業務(日常点検・定期点検・特定整備)と合わせて従事させることが可能です。ただし、付随業務だけに従事させることは認められていません。あくまで整備業務が主で、付随業務は補助的に行う形です。
Q. 採用から就業開始までどのくらいかかりますか?
海外からの招へいの場合、全体で3〜5ヶ月が目安です。整備士はドライバーと異なり日本の運転免許取得が不要なため、入国後の準備期間が比較的短いのが特徴です。国内在住の外国人(留学生や技能実習修了者)であれば、在留資格変更の手続きのみで1〜2ヶ月程度で就業開始できるケースもあります。
まとめ:整備士不足の解消は、特定技能の活用がカギ
求人倍率4.55倍という厳しい採用環境のなか、特定技能「自動車整備」は即戦力の外国人整備士を確保できる有力な手段です。
- 2019年から続く成熟した制度で、すでに3,000人以上が活躍中
- 特定技能2号の追加により、長期雇用・キャリア形成が可能に
- ネパールを含む13カ国で試験実施済み。現地で資格取得可能
- 受け入れ枠は5年間で10,000人に拡大
整備士の採用に苦戦している企業様は、特定技能の活用を検討してみてはいかがでしょうか。