タクシーやバスの運転手になるには二種免許が必要です。「難しいらしい」「何回も落ちる人がいる」と聞いて、応募をためらっている人も多いのではないでしょうか。この記事では、警察庁の最新統計で二種免許の本当の合格率を確認したうえで、適性・学科・技能の試験内容と、落ちやすいポイントを整理しました。あわせて、みんなのドライバーに掲載しているタクシー求人の「二種取得支援」を独自に集計しています。結論を先に言うと、二種は「一種より基準が厳しい試験」ですが、準備するポイントは決まっていて、多くの人は会社負担・教習所ルートで2週間前後で取っています。
この記事でわかること
- 警察庁の統計で見る二種免許の合格率(普通・中型・大型)
- 適性・学科・技能、それぞれの試験内容と合格基準
- 一種との違いと、落ちやすいポイント
- タクシー求人で見る「会社負担で取れる」の中身
- 一発で受かる人がやっている準備チェックリスト
【データ】二種免許の合格率は約6割

警察庁の「運転免許統計(令和7年版)」によると、令和7年中の二種免許の合格率は次のとおりです。
普通二種(タクシーなど)
60.8%
受験者55,964人・合格者34,019人
中型二種(マイクロバスなど)
66.9%
受験者1,974人・合格者1,320人
大型二種(路線・観光バス)
67.1%
受験者15,605人・合格者10,475人
出典:警察庁交通局運転免許課「運転免許統計 令和7年版」令和7年中の運転免許試験実施状況。受験者数は延べ人数。
この数字を見るときに、知っておきたいことが2つあります。
- 教習所を卒業した人も含んだ合格率です。教習所(指定自動車教習所)を卒業すると、試験場での技能試験は免除され、適性試験と学科試験だけを受けます。つまり約6割という数字は、主に「学科試験に何人が受かったか」に近いものです。
- 延べ人数なので、1人が何回も受けると受験者数が増えます。何度も受けて落ちる人がいると、合格率は下がります。「受験者の4割は二度と受からない」という意味ではありません。
なお、試験場で技能試験を直接受ける、いわゆる「一発試験」だけの合格率は公表されていません。一種の普通免許(72.8%)と比べて10ポイント以上低いのは、後で説明する学科90点・技能80点という合格基準の高さが効いていると考えられます。
二種免許の試験は4段階
二種免許を取るには、次の4つをすべてクリアします。受験資格(原則21歳以上で、普通免許などの保有が通算3年以上)は二種免許の取り方・費用・期間まとめで詳しく解説しています。
| 段階 | 内容 | 合格基準 |
|---|---|---|
| ① 適性試験 | 視力・深視力・色彩識別・聴力など | 視力は両眼0.8以上かつ片眼0.5以上。深視力は3回の平均誤差2cm以内 |
| ② 学科試験 | 95問(文章問題90問・イラスト問題5問) | 100点満点で90点以上 |
| ③ 技能試験 | 場内コース+路上。鋭角コースなど二種特有の課題あり(教習所卒業者は免除) | 減点方式で80点以上 |
| ④ 取得時講習 | 旅客車講習・旅客応急救護処置講習(一発試験で合格した人が対象。教習所では教習の中で受ける) | 受講すればOK |
参考:警視庁・大阪府警察の運転免許試験案内。手数料や講習の受け方は都道府県によって異なります。
一種の普通免許は技能試験が70点以上で合格ですが、二種は80点以上です。ネット上には「二種の技能も70点」と書いているページもありますが、二種は基準が一段高いので注意してください。

① 適性試験:いちばんの壁は「深視力」
二種免許(と大型・中型免許)の適性試験には、一種の普通免許にはない深視力検査があります。箱の中で3本の棒のうち真ん中の1本が前後に動き、3本が横一列に並んだと思ったところでボタンを押す検査です。3回測って、平均のズレが2cm以内なら合格です。
深視力は普段の生活ではまず測らないので、本番で初めて自分が苦手だと知る人がいます。視力が足りていても深視力で不合格になることがあるため、応募前・入校前に測っておくのが安全です。深視力の測定器を置いている眼鏡店や、教習所の入校前の適性検査で確認できます。メガネやコンタクトの度が合っていないと結果が悪くなるので、合わせ直すだけで通ることもあります。
② 学科試験:90点以上、落とせるのは数問だけ
学科試験は95問で、文章問題90問が各1点、イラスト問題5問が各2点の合計100点満点です。90点以上で合格なので、間違えてよいのはおおよそ文章問題10問分まで。イラスト問題は危険を予測する問題で、1つの場面について3つの設問があり、3つすべて正解しないと2点がもらえません。イラスト問題を2つ落とすと、それだけで4点を失います。
一種の学科と違うのは、お客さんを乗せて走ることに関する問題が加わる点です。乗降時の安全確認、乗客がいるときの運転のしかた、運転者が守るべき義務など、旅客輸送ならではの内容が出ます。一種の知識だけで受けると、ここで点を落とします。
- 落ちやすい人:一種の感覚で問題集を1回解いただけで受ける/イラスト問題の練習をしていない
- 対策:二種用の問題集を使い、間違えた問題だけを繰り返す。イラスト問題は「歩行者は飛び出してくるかもしれない」と最悪の動きを想定して答える
③ 技能試験:80点以上、「乗客がいる前提」で採点
技能試験は場内コースと路上で行われ、持ち点100点から減点されて80点以上残れば合格です。場内コースでは、S字・クランクなどに加えて、次のような二種ならではの課題があります。
- 鋭角コース:V字に曲がった狭い道を、切り返しながら通り抜ける課題。二種の技能試験の代表的な難所です。
- 方向変換・縦列駐車:バックで車庫入れ、または路肩に縦列で止める課題。
- 指定場所での停車:お客さんの乗り降りを想定して、決められた位置にぴったり止める課題。
採点は「お客さんが乗っていたら不快に感じるか」という目線で行われます。急ブレーキや急なハンドル操作、ガクンと揺れる発進は減点の対象です。普段から運転がうまい人ほど、自己流のクセで減点されることがあるので、一発試験で受ける人も練習所などで二種の採点基準を一度確認しておくと安心です。
教習所ルートと一発試験、どちらで取る?
| 比べる点 | 教習所に通う | 一発試験(直接受験) |
|---|---|---|
| 試験場で受ける試験 | 適性・学科だけ(技能は卒業検定で済む) | 適性・学科・技能のすべて |
| 費用 | 教習料がかかる(会社負担になることが多い) | 手数料と講習料だけで安いが、落ちるたびに受け直し |
| かかる日数 | 合宿や短期集中で2週間前後 | 受かるまでの回数しだい |
| 向いている人 | 未経験の人・確実に取りたい人 | 運転経験が長く、二種の採点基準を練習できる人 |
タクシー会社やバス会社に入社してから取る場合は、ほとんどが会社が提携する教習所に通うルートです。費用を自分で払わずに済むなら、一発試験で節約する理由はあまりありません。近くの教習所を探したい人は、大型免許・二種免許が取れる教習所マップ(全国594校)が便利です。
【データ】タクシー求人の84%が「二種取得支援」に触れている

では、実際の求人ではどのくらい会社が二種の取得を支援しているのでしょうか。みんなのドライバーに掲載しているタクシー・ハイヤー求人の本文を集計しました。
二種の取得支援に触れている
84%
タクシー・ハイヤー求人のうち
そのうち費用は会社負担
90%
取得支援ありの求人のうち
取得日数の書き方で多いもの
約2週間
次いで「最短9日」「最短10日」
出典:みんなのドライバー(株式会社Blue Rocket)掲載のタクシー・ハイヤー求人を独自集計(2026年10月時点)。求人本文のキーワードによる自動判定のため、書き方によっては数え漏れがあります。
- タクシーは「二種なしで入社→会社負担で取る」が標準。取得支援に触れている求人のうち9割が会社負担で、「未経験から」「未経験歓迎」と書いている求人も7割を超えていました。
- 取得中の給料も確認しておきたい。取得支援がある求人のうち、教習中の給与や日当について書いているのは約6割。残りの求人は、教習期間中の収入がどうなるかを面接で確認しておきましょう。
- バスは会社負担の割合が下がる。路線・観光・高速バスの求人では、取得支援に触れているのは7割弱、そのうち会社負担と読み取れたのは4割弱でした。大型二種は教習期間・費用ともに大きいので、制度の中身を個別に確認する必要があります。
会社負担で取るときに確認したい3つのこと
「全額会社負担」と書いてあっても、条件は会社によって違います。実際の求人には、次のような書き方がありました。
- 返済・在籍の条件:「会社が費用を立て替え、一定期間勤務すれば返済免除」「勤続3年で返還免除の貸付制度」など、すぐに辞めると費用の返済を求められる仕組みがあります。何年働けば免除になるかを確認しましょう。
- 取得中の給料:教習期間中も日給や月給が出る会社と、出ない会社があります。
- 不合格だったときの扱い:学科試験に落ちた場合の再受験の費用や、受け直せる回数を聞いておくと安心です。
一発で受かる人がやっている準備チェックリスト

- 普通免許などを取ってから通算3年以上たっているか確認した(19歳以上・1年以上なら特例教習という道もある)
- 眼鏡店や教習所で深視力を測った
- メガネ・コンタクトの度数が今の目に合っている
- 二種用の学科問題集を買い、間違えた問題を2周以上やり直した
- イラスト問題(危険予測)を集中的に練習した
- 免許の点数や違反歴を確認した(会社の養成制度の条件になっていることがある)
- 急ブレーキ・急発進をしない「お客さんを乗せている運転」を普段から意識している
- 会社負担の条件(返済・在籍・取得中の給料)を面接で確認した
2026年からの変更点:中型・大型二種にもAT限定
警察庁は、トラックやバスの運転手を増やすため、これまでAT限定がなかった中型・大型の免許にAT限定を新設する方針を示しています。報道によると、中型二種は2026年4月から、大型二種は2027年10月から順次導入する予定とされています。実際に受けられるかは、通う予定の教習所や試験場に確認してください。AT限定で取る場合は教習時間が短くなり、そのぶん費用も下がる見込みです。普通二種にはすでにAT限定があり、令和7年中は43,740人が受験しています(普通二種の内数)。
ただし、AT限定で取るとMT車には乗れません。応募する会社の車両がAT車かどうかを、先に確認しておきましょう。
よくある質問
Q. 二種免許の学科試験は一種よりどのくらい難しいですか?
合格点はどちらも90点以上ですが、二種ではお客さんを乗せて走ることに関する問題が加わります。一種の知識だけでは足りないので、二種用の問題集で準備してください。
Q. 深視力で落ちたらもう受けられませんか?
受け直せます。メガネの度を合わせ直したり、練習用の測定器で慣れたりすることで通る人もいます。不安な人は、会社の面接より前に測っておくのがおすすめです。
Q. 一発試験と教習所、どちらが早いですか?
一発で受かれば一発試験が早いこともありますが、技能80点の基準は高く、何回か受ける人も多いです。会社負担で教習所に通えるなら、2週間前後で確実に取れる教習所ルートが現実的です。
まとめ|二種は「基準が高い」けれど、準備で越えられる
二種免許の合格率は普通二種で60.8%。学科90点・技能80点と、一種より一段高い基準があり、適性試験では深視力という独自の壁もあります。それでも、深視力を事前に測る、二種用の問題集で学科を固める、会社負担の教習所ルートを使うの3つを押さえれば、2週間前後で取るのが一般的です。タクシー求人の8割以上が取得支援に触れているので、二種を持っていないことは応募をためらう理由になりません。どの会社の制度が自分に合うか迷ったら、気軽に相談してください。

