介護施設のデイサービス、幼稚園バス、ホテルの送迎車、工場の従業員バス。こうした「送迎ドライバー」は、夜勤がなく、決まったルートを走る仕事として、シニア世代や子育て中の人にも注目されています。一方で、「二種免許は要るの?」「給料はどのくらい?」「介助もするの?」と、よくわからない点も多い仕事です。この記事では、みんなのドライバーに掲載している送迎ドライバーの求人をもとに、送迎先の種類・免許・勤務時間・給料・介助の有無を整理しました。あわせて、二種免許が要る・要らないの線引きを、国土交通省と警察庁の資料で確認しています。結論を先に言うと、送迎ドライバーの求人は「短時間・中抜けで二種不要」のタイプと、「1日勤務の正社員で二種が要る」タイプにはっきり分かれます。
この記事でわかること
- 送迎先の種類(病院・学校・企業・幼稚園・介護・ホテルなど)と仕事のちがい
- 送迎ドライバーの働き方は「2タイプ」。勤務時間・雇用形態・給料の違い
- 必要な免許:普通免許でいい求人、中型・大型が要る求人、二種が要る求人
- 二種免許が要る・要らないの線引き(国土交通省のガイドライン)
- 介助はあるのか。求人票の書き方と、面接で確認したいこと
送迎ドライバーの仕事は「2タイプ」に分かれる

みんなのドライバーに掲載している送迎ドライバーの求人を見ると、送迎先は病院・人工透析クリニック、学校・塾・習い事、企業・工場の従業員、幼稚園・保育園が中心で、介護施設やホテル・教習所の送迎がそれに続きます。そして働き方は、大きく次の2つに分かれていました。
タイプ1:送迎先の車を運転する「短時間・中抜け」勤務
送迎業務を請け負う会社に雇われ、病院・幼稚園・学校・企業などの送迎を担当する働き方です。運転するのは送迎先(病院や園など)が持っている車なので、求人には「二種免許は必要ありません」と書かれているのが一般的です。
特徴は勤務時間です。「朝の送り+夕方の迎え」の中抜け勤務が多く、たとえば幼稚園なら「7時〜10時と13時半〜16時」、透析クリニックなら「朝の送り・昼の迎え・夜の迎え」のように、1日の中で2〜3回に分けて運転します。1日の実働は5〜6時間ほどの求人が中心で、雇用形態は契約社員やアルバイトが多く見られます。
タイプ2:施設・バス会社などの「1日勤務」
病院や介護施設が自分でドライバーを雇う求人、企業が役員車の運転手を雇う求人、バス会社が学校や企業の送迎バスを走らせる求人などです。こちらは「8時30分〜17時30分」のような日中通しの勤務がほとんどで、正社員の募集が中心です。
その一方で、二種免許が要る仕事も多くなります。バス会社などの運送会社が、お客さんを乗せてお金をもらう「旅客運送」の仕事として送迎を行っているためです(詳しくは後の章で説明します)。二種を持っていなくても「入社後に会社負担で取得できる」とする求人もあります。
給料の目安は「月給」と「時給換算」で見る
送迎ドライバーの給料は、どちらのタイプかで見方が変わります。
- タイプ1(短時間・中抜け):月給15万〜17万円前後の求人が多く見られます。ただし、これは1日5〜6時間・月の勤務日数も少なめの働き方での金額です。時給に直すと1,500円前後〜1,800円程度になることが多く、短時間の仕事としては低くありません。「午前と夕方だけ働きたい」「年金と組み合わせたい」人に合う働き方です。
- タイプ2(1日勤務・正社員):月給25万〜30万円前後が目安です。役員車の運転手やバス会社の求人が多く、二種免許や、高級車・大きなバスの運転経験を求める求人も少なくありません。
求人票の月給の金額だけで比べず、1日の実働時間と月の勤務日数もあわせて確認しましょう。ドライバー全体の給料の相場はドライバーの給料相場で詳しく紹介しています。
必要な免許は?普通・中型・大型・二種の見分け方
送迎ドライバーの求人は、普通免許で応募できるものが多い一方で、マイクロバスを運転する現場では中型以上、大きなバスでは大型免許が必要になります。二種免許が要る求人もあります。
運転する車の「定員」で、必要な免許が決まる
人を乗せる車は、乗車定員(何人乗りか)で必要な免許が変わります。
- 普通免許・準中型免許:定員10人以下(ワゴン車、10人乗りまでのハイエース、福祉車両)
- 中型免許:定員29人以下(マイクロバス、小型バス)
- 大型免許:定員の制限なし(中型・大型バス、大きめの園バス・スクールバス)
参考:富山県警察「各種免許で運転できる車の早見表」、長野県警察「確認しよう、運転免許と運転できる車」。車両総重量・最大積載量の条件もあり、どれか1つでも超えると運転できません。
特に気をつけたいのが「中型8t限定」です。2007年(平成19年)6月1日以前に普通免許を取った人は、免許証の種類が「中型(8t限定)」になっています。名前に「中型」と付いていますが、乗車定員は10人以下なので、マイクロバスは運転できません。求人票によく見かける「中型自動車免許(8t限定は不可)」という書き方はこのためです。マイクロバスの送迎をしたい人は、限定解除(8t限定を外す教習・審査)が必要です。費用と流れは中型免許の取得費用・8t限定からの流れで解説しています。
二種免許が要る・要らないの線引き
「人を乗せて運転するなら二種免許が必要」と思われがちですが、送迎ドライバーの場合は誰の車で、お金をもらって運んでいるのかによって変わります。
警察庁の資料によると、二種免許が必要なのは、旅客自動車運送事業(バス・タクシーのように、お金をもらってお客さんを運ぶ事業)の車を、お客さんを運ぶ目的で運転するときです。一方で、国土交通省の「道路運送法における許可又は登録を要しない運送に関するガイドライン」(2024年3月)では、次のような送迎は、運送そのものにお金を取っていなければ、許可や登録が要らない(=旅客運送の事業にあたらない)と整理されています。
- 介護施設・学校などの施設送迎:施設の利用料が有料でも、送迎そのものに特定した料金を取っていない場合
- ホテル・旅館の送迎:駅・空港と宿泊施設の間を無料で送迎する場合
- 他人の車の運転を任される場合:利用者(送迎先)が持っている車で送迎する場合や、企業の車で従業員を送迎する運転業務を外部に任せる場合。運転者が受け取るのは運転の報酬で、運送の対価ではないとされています
タイプ1の求人が「送迎先が所有する車両を使うので二種免許は不要」と書いているのは、3つめの考え方にあたります。
反対に、バス会社や観光バス会社が、学校・企業から委託を受けて自社のバス(緑ナンバー)で送迎する場合は、旅客運送の事業として行うため、運転手には二種免許が必要です。ガイドラインでも、保育園・幼稚園の通園バスは白ナンバー(自家用)が多い一方、中学校・高校のスクールバスは、貸切や特定の許可を持つ事業者(緑ナンバー)が受託して走らせていることが多い、と書かれています。介護タクシーも、お客さんから運賃をもらう事業なので、原則として二種免許が必要な仕事です。ただし、事業の形によっては、二種がなくても所定の講習を受けて運転できる仕組みもあるとされています。
なお、役員車の運転手は会社の車を運転する仕事ですが、二種免許を応募資格にしている求人もあります。二種が要らない仕事でも、会社が条件にしていることがあるので、応募資格は1件ずつ確認しましょう。二種免許の取り方は二種免許の取り方・費用・期間まとめを参考にしてください。
ここでの説明は一般的な考え方です。許可や登録が要るかどうかは、最終的にはそれぞれの事例ごとに判断されます。自分の仕事が当てはまるか迷ったら、応募先の会社に「この送迎は誰の車で、どんな契約で行うのか」を確認してください。
送迎先ごとの仕事のちがい
送迎先によって、時間帯や乗せる人が変わります。
- 病院・人工透析:通院する患者さんを送迎。治療時間に合わせた朝・昼・夜の中抜け勤務が多い仕事です。
- 学校・塾・習い事:スクールバスや塾・スイミングの送迎。習い事は午後〜夕方だけの勤務もあります。
- 企業・工場の従業員:駅と工場の間を時刻表どおりに往復。工場のシフトに合わせて早朝・深夜の便がある職場もあります。
- 幼稚園・保育園:朝夕の中抜け勤務が中心。園の長期休みに合わせて休日が多い職場もあり、大きめの園バスでは大型免許が求められます。
- 介護・福祉施設:デイサービスなどの利用者を送迎。施設が直接雇う場合は、建物の簡単な管理などを兼ねることもあります。
- ホテル・観光・教習所など:ホテル利用者の送迎、空港・ゴルフ場への送迎、教習所の送迎バスなど。
- 役員・VIP送迎:日中通しの勤務で月給は高めですが、都内の道路事情や高級車の運転経験を求められることが多い仕事です。
介助はある?求人票に書いていないことが多い
「送迎ドライバー=介助もする仕事」と思っている人も多いかもしれません。実際の求人では、乗り降りの介助や車いすの対応を仕事内容に書いているのは介護タクシーなど一部で、介護施設や病院の送迎でも介助について書いていない求人がほとんどです。「介助は添乗員が担当します」と、ドライバーは介助をしないと明記した求人もあります。
「乗り降りの際の声かけ・安全確認」を仕事内容に挙げる求人はよくありますが、これは介助ではなく、ドライバーとして安全を確かめる役割です。
ただし、求人票に書いていない=介助がない、とは限りません。介護施設の送迎では、職員が添乗して介助する施設もあれば、ドライバーが車いすの固定やリフトの操作をする施設もあります。介護の資格がない人、腰に不安がある人は、面接で次の点を確認しておくと安心です。
面接で確認したいこと
- 運転するのは誰の車か(会社の車・送迎先の車・バス会社の車)。二種免許は本当に不要か
- 車の大きさと乗車定員(自分の免許で運転できるか。8t限定ではないか)
- 職員・添乗員は同乗するか。乗り降りの介助や、車いすの固定・リフト操作はあるか
- 中抜けの間は自由時間か。待機場所はあるか
- 月の勤務日数と1日の実働時間(月給の金額だけで判断しない)
- 送迎先の休み(園の長期休み・工場の連休)の間、給料や勤務はどうなるか
送迎ドライバーに向いている人
夜勤なしで決まった時間に働きたい人、1日5〜6時間ほどの短時間で働きたい人(定年後の仕事にも。50代から始めるドライバー転職も参考に)、大型・中型免許はあるがトラックの荷積みはしたくない人に向いています。フルタイムで収入を上げたいなら、二種免許を取ってバス会社の正社員を目指す道もあります(バス運転手になるには?)。
よくある質問
Q. 普通免許だけで送迎ドライバーになれますか?
なれます。送迎ドライバーの求人には、普通免許で応募できるものが多くあります。ワゴン車やハイエース(10人乗りまで)を使う透析クリニックや介護施設の送迎が中心です。マイクロバスを運転したい場合は、中型免許(8t限定ではないもの)が必要です。
Q. 送迎ドライバーは介助もしないといけませんか?
求人票で介助を明記しているのは、介護タクシーなど一部です。ただし、書いていないだけで、車いすの固定などを頼まれる現場もあります。介助の有無と、職員が同乗するかどうかは面接で確認してください。
Q. 二種免許は取っておいたほうが有利ですか?
施設の車や送迎先の車を運転する仕事なら、二種免許は不要なことが多いです。一方、バス会社の送迎バスや介護タクシーは二種免許が必要で、正社員の求人が多いのもこちらです。長くフルタイムで働きたいなら、会社負担で二種を取れる求人を探すのも一つの方法です。
まとめ|送迎ドライバーは「どちらのタイプか」から選ぶ
送迎ドライバーの送迎先は、病院・透析、学校・習い事、企業の従業員、幼稚園が中心です。働き方は、送迎先の車を運転する「短時間・中抜け・二種不要」のタイプ(月給15万〜17万円前後・時給換算で1,500円前後〜)と、施設・バス会社などの「1日勤務・正社員中心」のタイプ(月給25万〜30万円前後・二種が要る仕事も多い)に分かれます。応募の前には、誰の車を運転するのか、車の定員と自分の免許、介助の有無、月の勤務日数の4つを確認しましょう。自分に合う送迎の仕事がわからないときは、気軽に相談してください。


